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アンヒドロースの開発

アンヒドロース®に含まれる機能性成分は正式名称1,5-アンヒドロ-Ⅾ-フルクトース(以後、1,5-AFと略します)。
化学的な印象を持たれるかもしれませんが、でん粉を海藻の酵素で分解して生産することができる糖です。
1,5-AFを含む製品アンヒドロース®は、ぶどう糖や水飴、異性化液糖など、従来のでん粉を原料とする糖にはない機能を持つユニークな製品で、これまでにない用途でご使用いただいております。
以下にこの製品の開発経緯について述べます。

開発のきっかけ

当社は古くから飲料や加工食品の原料としてでん粉糖を製造し、販売させていただいております。
さらに会社を発展させるためには新しい製品の開発が必要であると考えておりました。

そのような状況の中で当時、鹿児島県、宮崎県の大学や企業により南九州の地域資源を活用し新たな素材を開発するというプロジェクトがスタートし、各研究機関が18の研究テーマに取り組むことになりました。
当社は鹿児島大農学部から提案されたこの1,5-AFに興味を持ち共同研究をすることになりました。

1,5-AFの機能性1

当時、でん粉に、ある特殊な酵素を作用させると1,5-AFが生成される、という論文がヨーロッパの大学から発表されておりました。
しかし、そもそも1,5-AFにどのような機能があり、何に使えるかなどはほとんど報告されておりませんでしたので、他の機関の研究者からは「わけのわからない研究を始めた」と言われることもありました。

しかし、当社では当時3名体制で1,5-AFの生産技術開発や機能性研究に取り組んでおりました。
研究が進み、1,5-AFをでん粉から作れるようになり、1,5-AFの機能探索を開始しました。

最初は何をすべきということはありませんでしたが、一つ機能が見つかると、その試験の中で新たな機能が見つかるというような、連鎖があり、下記のような現象をつぎつぎと発見しました。

  1. 皮をむいた果物を1,5-AFに漬け込むと変色しないよ。
  2. 1,5-AFを添加した漬物の菌数が少ないよ。1,5-AFの代謝物に抗菌活性があると報告されているよ。1,5-AFにも抗菌活性があるかも。
  3. 1,5-AFを加熱すると着色が早いし、アルカリ性になると黄色になるよ。

このような作用は他の糖には見られないあるいは、他よりかなり強い反応でした。
このような発見がアンヒドロースの製品化後の以下の実用化につながり、今でも使用いただいておりますし、応用開発も進めております。

  1. 果物ペーストの変色防止
  2. 菓子類の日持ち向上
  3. 中華麺の色調保持
1,5-AFの機能性2

1,5-AFの研究を開始した当時、1,5-AFはある特殊な海藻の成分でしかありませんでした。
研究を開始して2年ほど経過したころ、哺乳類の肝臓でグリコーゲンから1,5-AFがつくられる可能性があるとの論文が発表されました。

この時、哺乳類に1,5-AFが存在するということは、ヒトも1,5-AFを体内で作っている可能性があることになり、1,5-AFが一気にメジャーな存在になったような気がして嬉しく思ったことを覚えています。
大学の医学系の先生方からも1,5-AFの健康増進機能には大変興味を示していただき、1,5-AFに抗炎症作用、抗アレルギー作用、細胞保護作用、脂質代謝促進作用、認知機能回復作用など、様々な機能が見出されました。

また、当社でも、偶然に1,5-AFにヒトの尿酸値の正常化作用を見出しました。
このように1,5-AFは多彩な健康増進機能を示す糖で、現在、4社の健康食品会社に採用され、このアンヒドロース®を原料とする製品が販売されています。

1,5-AFの生産技術開発

1,5-AFの工業的な生産はどこも行っておらず、製造技術の開発は酵素の準備、酵素の反応条件の設定、精製方法など、すべてゼロからのスタートでしたし、当社にとっても基礎研究からの開発は初めての経験でした。

1,5-AF調製の実験のはじめのころ、初めて高純度1,5-AFが取ることができ、あとは乾燥機で乾燥させるだけになり、やっとここまで来たと思っておりました。
乾燥が終わって乾燥機を開けると、真っ白な粉末を期待していたのに、そこにあるのは真っ黒な物体でした。
1,5-AFは他の糖と違って熱にとても弱かったのです。このように1,5-AF特有の性質があり、製造方法の確立には様々な苦労がありました(詳細は企業秘密のため、残念ながらご紹介できません)。
長い年月を要しましたが、大量に生産できる体制ができました。現在に至るまで、1,5-AFの工業的生産を行っているのは世界中で当社のみです。

1,5-AFへのさらなる期待

1,5-AFの研究に携わった方は、皆さん「面白い素材ですね」と言ってくださいます。
取り組めば取り組むだけ面白い結果が得られるからです。

今後もさらに1,5-AFの機能が見出され、用途が広がっていくものと期待しております。
さらに1,5-AFを原料としたものづくりの可能性をも秘めております。
1,5-AF及びその代謝物を研究することで、でん粉の新たな利用が今後も広がっていくと期待しております。

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